裁量労働制
(さいりょうろうどうせい)
裁量労働制とは、日本で労働者が雇用者と結ぶ労働形態のひとつで、労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用される制度の事。
制度
裁量労働制は、労働基準法の定めとみなし労働時間制のひとつとして位置づけられている制度。
この制度が適用された場合、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使(労働者と使用者)の間であらかじめ定めた時間を働いたものとみなされる。
業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用できるとされている。
適用業務の範囲は厚生労働省が定めた業務に限定されている専門業務型と企画業務型とがある。
導入
導入する際には、労使(労働者と使用者)双方の合意(専門業務型では労使協定の締結(条約・約束などを取り結ぶこと)、企画業務型では労使委員会の決議)と事業場所轄の労働基準監督署長への届け出などが必要である。
専門業務型
専門業務型では労使協定の締結
企画業務型
企画業務型では労使委員会の決議
法律及び告示に基づく規定
裁量労働制を採用するには、労働基準法第38条の3及び第38条の4の要件を満たす必要があります。
専門的職種・企画管理業務など、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある職種であることが条件である。
当初は極めて専門的な職種にしか適用できなかったが、現在では適用範囲が広がっている。
厚生労働大臣指定職種も含めた主な職種は以下の通り
1.新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
2.情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう)の分析又は設計の業務
3.新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
4.衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
5.放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
6.広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
7.事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
8.建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
9.ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
10.有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
11.金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
12.学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
13.公認会計士の業務
14.弁護士の業務
15.建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
16.不動産鑑定士の業務
17.弁理士の業務
18.税理士の業務
19.中小企業診断士の業務
1から5までは、労働基準法施行規則第24条の2の2第2項により、 6から19までは、労働基準法施行規則第24条の2の2第2項より厚生労働大臣が指定する業務を定める平成9年2月14日労働省告示第7号による規定である。
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